なんで女の子にするわけと彼は言う。私は少し驚いて、読んでるんだ、と言う。彼は不愉快そうに眉を歪めて、それがなにか、と訊く。うれしいと私はこたえる。読まれるのって好きだよ。リアル知りあいの人々には槙野さんのブログあんまり評判よくないから、余計にうれしいな。
俺の評判もよくない、と彼は言う。あらまあと私はつぶやく。それは残念。いやなら消します。あなたの言動を切り貼りしたエントリは全部消去してもいい。私がそのように提案すると彼は鼻で笑いばかみたいな量のコピーが発生してるのにオリジナルに意味なんかないと言う。私は少し笑う。ごめんなさいね。インターネットのせいなの。考えなしに浅はかにインターネットを使ったせいなの。情報化社会っておそろしいですね。
でもどうして女の姿で切り貼りされるのがいやなの。男の人物として出している友だちは笑ってくれたよ、ほんとに男の人みたいねって。私いさましい男の人みたいねって。私そんないやな気持ちになる書きかたしてないと思うよ、私の文章なんかろくでもないものだけど、それだけは、自信がある、人があなたのことばを嫌いになる書きかたはしてない。あれに出てくるあなたのせりふを何人かの人は好きだって言ってたよ。私は、あなたの言うことを気に入ったから、自分がつくれるいちばんいい入れ物に入れた、そうしないと私はみんな忘れてしまうから。その入れ物が女のかたちをしているのが、どうしていけないの?
彼は意地の悪い薄笑いを笑い(私はその表情が好きだ。とても性格が悪そうに見える。善良な人物なのに)、誘導している、と言う。女みたいなものにされるのがいやなのは女を下に見ているからだとあなたは言いたいんだろうね。きっとそうなんだろう。
私はもう一度笑って、考えすぎ、と言う。だいいち私の作文でなにをされようとあなたに影響なんかない、そんな脆そうな喉仏をさらして、そんな薄っぺらい腰をして、私よりもひとまわり低い声を出して、女のはずがないでしょう。
ひとまわり、と彼は言う。オクターヴ?そんなに違うかな。違うんじゃないかなと私は言う。それから、おもしろいからまた女の人物にしてやろうと思う。そうして眉をひらきいかにも善良な顔をつくって、三度目のほほえみを浮かべる。